かつて、汐見文隆、窪田泰が主宰した「低周波被害者の会」があった。全国から被害相談があって、その原因を解明していく。ニーナピアポントと同じような役割だった。工事現場の重機、工場からの響き、最近ではエコキュートやエネファームが多い。低周波の発信元では、被害意識もなく平然としている。それが余計に腹が立つ。被害者は孤立しているからね。周囲には、そうそう同じ被害感を共有する人はいない。
究極、その人はヒステリックに泣き叫ぶことになる。汐見先生はそんな対応を続けていた。窪田さんなど、一晩中、話を聞き続けたという。低周波被害は頭をやられるのだ。耳鳴りや目まいなどの症状以上に、精神破壊の苦しさが溢れ出る。「被害者にはヘンな人が多いね」と私が言うと、「確かにその通りなんだよ」と言葉少なに被害者たちの事例を聞く。被害者にとっては、他にどこにも聞いてくれるところなんかないからね。
それでも喧嘩ばかりさ。タダのボランティア活動だと思い込む人がいる。カネ儲けにやっているんだとか、言いたい放題よ。私が畑地区の被害者宅に行った時も、散々な罵声を浴びることになる。被害者の哀れなことよ。とくに風力発電では、何重にも取り囲まれた策略の罠がある。政治家や行政・役場、環境運動家、地域の有力者など、支配権力が襲い掛かる。田舎の百姓なんか吹っ飛ぶわ。
私もコテンパンにやられたからね、イヤハヤ、人々は大喜びだ。そうかい、そんなに嬉しいのかい、と私も笑ってやる。被害者たちはとうに転落している。裏切り、拒否、家畜になってしまっていた。「出て行けっ」と何度叫ばれたことか。それが彼らの価値観だったんだよ。私を怒鳴りつけてやった、とな。エライ目に遭ったかな。そんな活動を汐見・窪田さんはやっていた。この人らは神かと思ったよ。
案の定、誰も有難みも感謝もない。我利我利亡者ばかりよ。「ウソ付きばかりだよ」と窪田さんも漏らしていた。資金はすべて汐見文隆医師のポケットマネーだ。それでも晩年、東伊豆町や伊方町に視察に行った時の話に、「クボタは・クボタは・」と言っていた。なぜこの被害を認めないか・とな。あとに続く人は誰もいない。各地でやっているペテンのエセ反対を見るにつけ、つくづく、社会の不条理に泣けてくる。
その地域の被害者にとっては自業自得だろ。由良町畑地区を見ろよ。誰に聞いても「被害はないっ」と叫ばれる。そんなに感情的にならんでも、と思わんか。ネジを巻かれている。危険な低周波音の影響もあるだろう。人間破壊を見る。何が悪いのか、誰だって分かるだろうに。日本だけ、その言葉を言ってはならないし、キョトンとして、何のことか分からないのだ。世界中で、日本だけの特異な社会現象だ。
北米でも南米でも、ヨーロッパでもアフリカでも、風力発電の被害に抗議している。人の住んでいないオーストラリアなら被害はないわな、というけど、調べてみたらたくさんの風力反対・抗議デモがある。日本独特な心理トリックだ。たくさんの風力スローガンを聞いたでしょ。由良町ならその言葉を繰り返して笑ったやろ。催眠術なんやで。それが嬉しいか。麻薬やな。「薬を飲め‼」そんな強制もありましたな。
少しでも楽になったらいいじゃないか、と。ホンマかい。殺人やないか。倫理もヘチマもない。すっかり社会は破壊されていた。人に対する思いやり、優しさはないんかい。狂てると思わんか。由良町だけじゃないけどな。私は、海外の風力反対が羨ましい。なぜ日本にそれがないのか、できないのか、それが悔しいかな。アホにされているだけなのに。もう低周波被害者の会は、手の届かぬ夢なのか。
汐見先生の描いた夢物語だったのか。ほんの少し、私はその魔法に酔いしれた。汐見教と言って人は笑う。人に対する思いやりなんて、アホにされただけじゃないか。じゃぁ、海外の風力反対は何なんだ。由良さん、ここは日本ですよ、と笑い声が聞こえる。




